
算数難易度:★★★★☆
国語難易度:★★★☆☆
理科難易度:★★★★☆
社会難易度:★★★☆☆
東邦大東邦中は千葉県習志野市にある中高一貫制の私立共学校で、渋谷幕張・市川と共に千葉私立御三家と呼ばれる進学校です。
建学理念である「自然・生命・人間」からも分かるように理数系の教育に非常に強く、国公立大医学部・私大医学部を目指す県内の優秀な生徒は御三家の中でも東邦大東邦を目指す傾向があります。
進学実績も県内トップレベルで、東大・京大、早慶上理といった難関大学への合格実績はさることながら、特筆すべきは国公立大医学部への進学者数の多さです。東大よりも医学部を目指すという傾向が強く、医学部を目指す生徒には非常に適した学校と言えるでしょう。
①4科目の配点が同じなので、理社が得意な受験生には有利。
②算数・理科の難易度が高く、論理的思考力が要求される。
③国語・社会は標準レベル。
科目 | 配点 | 時間 | 問題数 | 難易度 | 記述・要途中式 | 要思考力問題率 | 難問出題率 | 出題タイプ | 合格最低ライン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国語 | 100点 | 45分 | 普通 | 普通 | 0% | 15% | 0% | A | 65% |
算数 | 100点 | 45分 | やや多い | やや難 | 0% | 60% | 15% | B | 57% |
理科 | 100点 | 45分 | やや多い | やや難 | 0% | 60% | 25% | B | 65% |
社会 | 100点 | 45分 | 普通 | 普通 | 0% | 15% | 5% | A | 65% |
A タイプ |
全体の9割以上が知識や公式を知っていて、その活用法が分かっていれば解ける出題の学校。 | B タイプ |
全体の3割以上が正解を出すために、思考力や発想力を必要とする問題の学校。 | AB タイプ |
全体の1割から3割がBタイプ(正解を出すために思考力や発想力を必要とする問題)の学校。 |
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科目 | 出題されやすい単元・形式 |
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国語 | ●論説・説明文 ●小説・物語文 ●漢字(読解問題に内包される形で出題) ●言葉の知識(読解問題に内包される形で出題) |
算数 | ●計算問題 ●整数の性質 ●規則性 ●条件整理 ●速さ(旅人算、ヒストグラム) ●平面図形(求積、移動) ●立体図形(求積、水そう) |
理科 | ●物理分野 ●化学分野 ●生物分野 ●地学分野 ●時事テーマ |
社会 | ●日本の地理 ●日本の歴史 ●公民 |

科目 | 学習すべき内容・学習方法 | 試験での得点方法 |
---|---|---|
国語 | 大問2題(設問数は約25問)の問題構成で、論説・説明文から1題、小説・物語文から1題が出題される。また漢字や言葉の知識といった知識問題も出題されるが、これは読解問題に内包される形で出題される。 東邦大東邦の国語は、解答形式がほぼすべて記号選択で、かつ選択肢も4つと比較的解きやすいと言えるだろう。また、論説・説明文は理系的文章が出題されることも少なくないので、理系の人には取っつきやすいと言える。 とはいえ、だからと言って無策で望むのでは合格点には届かないだろう。選択肢の中から正解を選び出す方法論(消去法など)はしっかりと習得しておきたい。 また、知識問題が約20点分あるため、知識内容の習得も疎かにはできない。毎日漢字や言葉の意味などを学習する習慣をつけておこう。 | 論説・説明文と小説・物語文のうち、得意な方から手を付けるのが良いだろう。 時間的には厳しくないものの、選択問題での時間の浪費は避けたい。じっくりと問題を解きつつも時間は常に意識したいところだ。 |
算数 | 大問6~7題(小問数は約20問)の問題構成で、配点は後半の応用問題の方が高い傾向がある。 東邦大東邦の算数で求められるのは、「論理的思考力」、「正確性」、「スピード」の3つで、理系的思考力のすべてが求められていると言えるだろう。 まず、解答形式は途中式を書く欄がなく解答のみを記入する形式のため、正確性が求められる。後半の応用問題の方が配点が高いことからも分かるように、少し難しめの問題でも正確に計算して正しい解答にたどり着く必要がある。 次に、大問別にみると、大問1・2では計算問題・応用小問が出題され、大問3以降では応用問題が出題される。応用問題ではただ単に公式を知っているだけでは解けないような「論理的思考力」を要求される問題が多いため、日ごろの学習で単純に解答を覚えるのではなく、どういう論理で正解までたどり着けるのかを意識しながら問題に対峙することが必要になってくるだろう。 また、上述のとおり思考力を要する問題が多い一方で、試験時間は45分と短めであるため、「スピード」も要求される。普段から時間を自分で計りながら問題を解く訓練を積んでおきたい。 以上のように、「論理的思考力」と「スピード」・「正確性」(効率性)が求められる良問が多いと言えるだろう。 | まずは大問1・2の計算問題・応用小問を素早く解く。 その後、大問3以降を一通り確認したのち、解けそうな問題から順次解いていく。 時間的な余裕はないので、時間配分をしっかりと決めた上で解答を進め、配分時間が来たら一旦やめて次に進むこと。時間の浪費は致命的になりかねない。 |
理科 | 大問数が約6~7題の問題構成で、生物・地学・化学・物理から最低1題ずつ、年度によって2題出題される分野は変わり、時事テーマの出題も1題ある。 東邦大東邦の理科の一番の特徴は、計算問題の比率の高さであろう。計算問題が約半数を占めた年度もあった。それ以外は記号選択で記述問題はない。計算問題の重点的な演習なしでは、太刀打ちができないだろう。 また、大学受験でよく問われるテーマを中学受験生向けにカスタマイズした問題が目立つ。その点を個人で学習するのは難しいため、塾や家庭教師などで頼れる先生が近くにいる場合は、先生に少し進んだ内容の話まで教えてもらうと良いだろう。 出題内容としては、「力のつり合い」は頻出ではあるが、前年と同じテーマの問題が出題されることは少ない。そのため、幅広くまんべんない学習を心掛けることが重要だ。苦手分野や未習分野があることは致命的になりかねない。 また、時事テーマでの出題も東邦大東邦の特徴だろう。新聞やニュースなどを日ごろからチェックし、科学的な内容が出てきたら自分なりに調べて掘り下げておくことが効果的だろう。 | 試験時間は45分だが、計算問題が多いため時間的には厳しく、スピードが要求される。 記号選択問題は素早く正確に解き、計算問題でできるだけ時間を費やせるように解いていくことが重要だ。 分からない問題での時間の浪費には気を付けること。 |
社会 | 大問3題(小問数約30問)という問題構成で、地理、歴史、公民分野からバランスよく出題されている。 分野別にみると、地理では資料の読み取り問題が多く、多少の思考力も要求されるが、歴史・公民は基本的な出題が中心であるため解きやすいと言えるだろう。 さらに、全体を通して記号選択が大半であるため(一部適語記入)、社会は4科目の中でも最も得点しやすい科目と言える。 よって、地理・歴史・公民の基本事項を万遍なく学習することが非常に重要になってくる。標準レベルの問題集を1冊完璧に仕上げて試験に臨みたい。 | 難易度・試験時間ともに無理のない出題なので、順次解いていく。 地理の資料の読み取り問題は多少時間を費やすことになるかもしれないので、時間がかかりそうなら後回しにして時間の浪費は防ぎたい。 |
東邦大東邦中合格に必要なのは、「算・理での論理的思考力」、「国・社での基本~標準レベルの網羅性」の2つです。
まず、算数では応用問題の比率が高く、かつ単純な理解では太刀打ちできず自分の頭で論理立てて考える力が要求されており、理科では約半数が計算問題を占め、こちらも論理的に分析して計算する力が要求されている。また、国語の論説・説明文では理系寄りの文章が出題されるため、文章を構造化して捉える力があると非常に読みやすいだろう。以上から分かるように、東邦大東邦ではポイントとなる算数・理科はもちろんのこと、国語でも論理的思考力が要求されていると言える。
また、国語・社会では標準的なレベルでの出題が多く、逆に言えばここでの失点は致命的になりかねない。基本~標準レベルの内容の網羅性が必要不可欠になってくると言えるだろう。