

私(アクセス中学受験プロ講師責任者 中西俊一)は、毎年難関中学を含む様々な中学へ生徒を合格させてきていますが、ここではサレジオ学院に絞って私がどのようにして生徒を合格させたのか、その方法の一例をご紹介したいと思います。ここ近年の実例として、Y君(仮名)の家庭教師として指導を行った時のお話をさせていただきます。サレジオ学院を受験される予定の方のご参考になれば幸いです。
K君は啓明館に通う生徒で、塾のクラスはS(3段階の一番上)に所属する新6年生(指導開始時)の社交的で元気なお子さんでした。
Y君はサレジオ学院への進学希望を、受験勉強を開始した小3の2月から既にもっていましたが、私が指導を開始する直前の時点でのY君の成績は4科目総合偏差値が49(ナビゲーション模試)で、このままではサレジオ学院への合格はかなり厳しい状況にあるなというのが私の素直な感想でしたし、そのことはY君自身も感じていました。
そのためY君のご家庭は何とかしなければとわらをもすがる様な気持ちで私に依頼をしてきたのですが、現状を考えると相当なてこ入れをしないといけないことは明らかでした。

私が最初に取り組んだことは、Y君の現在の学習現状を詳しく調べ、問題点とその原因を探ることでした。原因が分からないことには対策の立てようがないからです。
この調査ではY君のテストの結果や答案の書き方はもちろん、塾での授業の受け方、塾の他の生徒や先生との関係、普段の家庭での勉強時間や使用教材、学習内容、学習方法、生活のリズムや勉強の時間帯、自由時間の過ごし方、学校での友人関係、家族関係、メンタルな面に至るまで可能な限り詳細に現状を調べ、考えられる問題点を可能な限り洗い出します。
その結果、Y君の一番の問題点は、得点に結びつくような効果的で効率の良い勉強方法を行っておらず、ただ時間だけが長い勉強を行っているということが分かってきたのです。ではなぜY君はそのような非効率な勉強法をしていたのかということを追究していくと、そこにはY君のご家庭の構造的な問題が浮かび上がってきたのです。

9月以降は過去問を活用してサレジオ学院の入試問題対策を徹底的に行いましたが、サレジオ学院の入試では難しい問題を解くことよりも、標準レベル位までの問題を早く正確に解けることが要求されますので、過去問をただ解いて間違い直しをさせるだけでなく、過去問をどういう時間配分でどの問題から取り掛かるべきかや、解かなくてもよい問題(捨て問)はどれかを見極める訓練に活用し、限られた時間内で1点でも多く得点する技術を習得させました。
またサレジオ学院の入試では少しのミスが命取りになることがあるので、ミスを防ぐための問題の読み方や線・印の付け方、答案のチェックの仕方も徹底して訓練させました。
こうして迎えた入試本番、Y君は本人の予想で4科目合計で7割以上の得点を挙げることができ、無事サレジオ学院に合格することができました。

中学入学試験問題集 理科編(通称銀本)(みくに出版)
言葉力1200(学研)
自然図鑑(Do!図鑑シリーズ)(福音館書店)
サレジオ学院に合格するための重要ポイント
- 過去問は時間配分を的確に行う技術や捨て問を素早く見極める術を磨くために活用する。
- 算数は途中式も書かせるので日頃から解答の書き方練習を怠らない。
- ミスを防ぐための効果的な問題の読み方や線の引き方、印のつけかた、チェックの仕方を身につける。
- 理科では身近な出来事や現象、動植物に関する問題がよく出題されるのでその対策をしっかりと行う。

算数難易度:★★★★☆
国語難易度:★★★★☆
理科難易度:★★★★☆
社会難易度:★★★☆☆
サレジオ学院中は神奈川県の中高一貫男子校です。
1学年180名という少人数制にこだわっており、一人ひとりに対応した学習指導を展開しています。
入学試験は高レベルの問題が多く、思考力・記述力が問われます。
また、理科・社会は問題数が多いためスピードも問われます。

①全体的に難しく、思考力・記述力が問われる。
②理科・社会は問題が多いためスピードが必要。

科目 | 配点 | 時間 | 問題数 | 難易度 | 記述・要途中式 | 難問出題率 | 出題タイプ | 合格最低ライン |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国語 | 100点 | 50分 | 普通 | やや難 | 25% | 20% | AB | 60% |
算数 | 100点 | 50分 | 普通 | やや難 | 10% | 30% | B | 65% |
理科 | 75点 | 40分 | やや多い | やや難 | 0% | 10% | A | 75% |
社会 | 75点 | 40分 | 非常に多い | 普通 | 5% | 10% | A | 75% |
A タイプ |
全体の9割以上が知識や公式を知っていて、その活用法が分かっていれば解ける出題の学校。 | B タイプ |
全体の3割以上が正解を出すために、思考力や発想力を必要とする問題の学校。 | AB タイプ |
全体の1割から3割がBタイプ(正解を出すために思考力や発想力を必要とする問題)の学校。 |
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科目 | 出題されやすい単元・形式 |
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国語 | ●説明・論説文 ●小説・物語文 ●ことばの知識 ●漢字の読み書き ●語句の意味 |
算数 | ●計算、還元算 ●数の性質、規則性、N進法、約束記号 ●場合の数 ●平面図形・立体図形 ●旅人算 |
理科 | ●植物総合 ●動物総合 ●水溶液 ●力のつりあい ●火山・岩石と地層 |
社会 | ●日本地理総合 ●日本歴史総合 ●政治総合 ●時事問題 |

科目 | 学習すべき内容・学習方法 | 試験での得点方法 |
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国語 | 長文問題の題材となる文章が難しめの文章であることが多いので、そういうレベルの文章を多く読みこなし慣れておく必要がある。記述問題もそこそこ多く出題されるため、記述対策にも力を入れておく必要がある。知識問題対策としては漢字の読み書き、ことばの知識、語句の意味を覚えておくことが肝心。 | 漢字やことばの知識、語句の意味といった知識問題から手早く解答し、選択問題、記述問題の順に解答していき、1問でも多く解答する。 |
算数 | 四則計算と還元算、数の性質、規則性、約束記号、N進法、場合の数、平面図形、立体図形は必ずといってよいほど出題されるので、応用レベルまで十分に練習を積んでおく必要がある。特殊算はあまり出題されていないが、旅人算を中心にひと通りの特殊算は解けるようにしておいた方が得策である。 | 大問の1番から手早く解答し、大問の2番以降は比較的簡単な(1)番から手をつけ、余力があれば(2)以降もできるだけ解答する。 |
理科 | 生物・化学・物理・地学の各分野からまんべんなく出題されているので、幅広く基礎知識を暗記しておく必要がある。また特に力のつりあいの単元は計算問題が多く出題されているので計算で正解を出せるようにしておくことが重要。実験や観察結果から答えさせる形式が多いのでその形式に十分に慣れておく必要がある。 | 知識で解ける問題から解答し、計算問題や思考力を要する問題も速く解けそうな問題からできるだけ手早く解答していく。 |
社会 | 問題数が非常に多いことと問題文も長いので、素早く読み素早く解答する練習を十分に積んでおくことが肝心。問題形式も総合問題形式が多いので断片的な知識を覚えるだけではなく、個々の出来事同士の関連性や原因と結果や流れをとらえておくことが重要である。グラフや資料から答えさせる形式の問題も出るのでその対策も必要。 | とにかく問題数が多いので知識で解ける問題から手早くどんどん解いていき、表や資料を見て答える問題も1問でも多く解答する。 |

科目 | 問題傾向が似ている学校 |
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国語 | ■桐朋中 ■渋谷教育学園渋谷中 ■秀英中 ■栄東中 |
算数 | ■栄東中 ■頌栄女子学院中 ■西部学園文理中 |
理科 | ■城北埼玉中 ■浅野中 |
社会 | ■学習院中等科 ■開成中 ■慶應義塾普通部 ■桐朋中 |

サレジオ学院中攻略のポイントは、「思考・記述力」、「速読即解力」です。
難問が多いので、思考力と記述力が問われます。
理科では計算が求められるので、過去問演習から傾向を掴んでおきましょう。
また、難問であるだけでなく問題数も多いので、速読し、瞬時に解答する能力も必要になります。